裸電球

病室みたいに真白な電球の灯りの下で君は綾取りをしていた。それはまだ夏が暑さを失っていない頃の話で、だから僕達は扇風機を回していたんだ。
君の毛糸は血みたいな色をしていて僕はそれを見ながら君を引っ掻くことばかり想像していた。

どれぐらい経った時か忘れたけど、君は扇風機に毛糸を飛ばされ窓の外に落としたんだ。

僕は何故だかその毛糸が命より大事に感じて慌てて部屋を飛び出し路地まで取りに行った。

路地に落ちた毛糸はさっき部屋で見た毛糸とは全く違う何かに変わっていたけど、同時にそれは間違いなくあの毛糸だったから僕はそれを持って部屋に戻ったんだ。


勿論部屋には君が居なかったのだけれど、それだけの話さ。