忘却された街

剥がれかけたポスターが風に揺れている。
錆びた噴水には油が浮いていて、それが太陽の光を七色に染めている。
カタカタと鳴る古びた車の窓には、のっぺりと貼りついた雲だけが正しく時刻を刻んでいる。

すべてが終わってしまった街には誰一人いない。
それでもなお、街は住む人を求めて時間を回す。

すべてがまた秩序を取り戻すと信じて、歪んだネジを動かし続ける。