室温

言葉ばかりが部屋を埋めていくのに耐えきれず、君は2月の冷たいベランダで星のない夜空ばかり眺めていた。
それから煙草に火をつけて小さな雲を作っては誰も知らない場所に小さく雨を降らしているのだ。

僕はそれに気付いているのにストーブの前でごほごほと咳をするふりをしながら時間が過ぎてしまうのを待っている。

だけど時間はストーブの温度のせいでドロドロと溶けて残酷なほど緩やかに流れる。