体育座り

少女の乾いた唇には歌なんてものは似合わず、だから少女は部屋の隅で黙り込んでいた。

少女の四角い部屋は汚れていた。
それは目には見えない汚れだったが、食器や歯ブラシや浴室から始まり、仕舞いには部屋全体を蝕んでいった。

それは少女から歌を奪い、絵画を奪った。詩集を奪い、写真を奪った。

しかしながら、既に浸食されきった少女はそれすら気付かずにその部屋でまた食事を繰り返すのだ。