灰色

食器の中には鈍色の釘がたっぷり入っていて彼女はそれを口一杯にして飲み込みます。それから僕に微笑みます。首筋には口から溢れた血が赤く線を描いてます。僕はそれを指でなぞっては口へ運びます。それは鉄の味がして僕は屋上へ通じる錆びた扉を思い出します。そして僕はその扉を開け屋上に行きます。屋上では雨が降っています。遠くで救急車が鳴っています。救急車の中では医者が少女の首を絞めています。少女は目尻に涙を溜めながら笑っています。街中を分厚い雲が覆っているのです。
この街が晴れることは決してない。