wine red

僕は葡萄の種を取り除くように増え過ぎた金魚の体に指を押しつけては小さな心臓を取り出した。そして二つの銀のトレイに心臓ともう抜け殻となってしまった体を分けて置いていった。
そうやって作業をしている間に僕が疲れて眠ってしまうと、真っ暗な部屋では死んだ金魚が発光体になり新たな心臓を孕んで泳ぎ回っていた。
そして金魚の群れは寝ている僕の体を左右から引っ張りバリバリと剥いだので、僕は裸になっていた。
そしてまだ脈打つ僕の心臓を金魚の群れは丁寧に外すと銀のトレイに置いて、それから窓を抜け空へと消えてしまった。

それはとても星が綺麗な満月の夜で僕は銀のトレイの上でいつまでも空を眺めていた。