mint green

少女は直す気のない癖を左手でカウントしながら駅前で彼氏が来るのを待っていた。

空にはガムがへばりついたような緑色の太陽が燃えていて街中の人がミディアムレアに焼かれていた。しかしそんな中で少女はバニラアイスのように白かった。

時計が待ち合わせの時刻から30分経ち、彼女が「いつもローファーの踵を踏んでしまうこと」と唱えていた時に彼氏は到着した。

しかし、暫く会っていなかった彼氏は忌々しい太陽のせいで黒こげになっていた。焼き肉だったら確実に残すぐらいの黒さだ。少女はまだこっちに気付いていない彼氏に見つからないよう、回れ右して家に向かった。

しかし家があった場所もまたあの忌々しい太陽のせいで燃えてしまったらしく辺りは一面焼け野原になっていた。

少女は苛々して空に貼りついていた太陽を右手で取ると口に入れて噛み始めた。それはミントの味がして、なんだか清々しかった。

それから待っていたように深い夜が来て、だから少女は眠ったのだ。