『春』

青く燃える桜の下で宴をしていました
僕達は酒に酔っていたのです、

各々が持ってきた弁当の中に食べ物なんか一つもなく

一つ二つとピンセットで引っ張ればぺらりと剥がれるような夢ばかりがありました
しかしそれは酒のつまみには非常に相応しく
みんなして良くつついたものです


しかしそうしていられるのも長くは無かった
弁当箱一杯だったはずの夢を食べきると

皆一様に口を開かなくなり酒で酔えるほどの感情すらなくなっていました


そうして黙っていると、
青く燃えていた桜がじりじりと僕達を焼いて

気付けば僕達は粉薬のような白い粉末に成り下がっていたのです。