幾つかの散らばった黄色達へ

左目の中では気泡が弾けるような小さな爆発が何度も起きていた。

その原因が知りたくて僕はスプーンで左目を優しく掬うとルーペで覗いた。しかし左目には何一つ変わった様子は無かったので僕は溜め息を吐いてから、水を張った金魚鉢の中で左目を洗い、左目のあった穴にそれを戻した。

それからというもの僕の左目は数日前が嘘のように大人しかった。小さな爆発なんていうのは元から無かったかのように静かにそこに居座っていた。僕はその嬉しさに毎夜小人を集めては舞踏会を開き楽しんだものだ。

しかし、ある日朝食を食べながらふとスプーンを見ると、逆さまに映った僕の左目には目ではなく金魚鉢に敷き詰めていた黄色のビー玉が入っていた。

檸檬色のそれは、それからずっと僕の左目として死ぬまでそこに居座っていた。