どろり、と電球から零れる空気を金魚鉢で受け止めると琥珀色の空気は蜂蜜のような美しさで金魚鉢の中に佇むのです。
それは夏の蒸し暑い夜で、僕はその空気を屋台で売りに神社へ向かいました。
夜道は非常に暗かったけれど金魚鉢一杯の空気は優しく発光して道を照らしたので、僕はすんなりと神社へ向かうことが出来ました。
そうこうして神社に辿り着いた僕は金魚鉢を抱えて階段を上がったのですが、一段踏み外して転んで金魚鉢は割れてしまいました。
そうして散らばった空気の欠片一つ一つが黒いカーテンで覆われたような真黒な夜空に穴をあけて、そうして星を作ったのでした。