ベホマ

クリムトの画集を読みながら、少女は慣れない煙草を吸っている。

ステレオからはマイルス・デイヴィスが狂ったようにトランペットを吹き鳴らし、少女はその風圧で全ての桜の花が散るんじゃないかと思いながら画集を眺めている。


クリムトの画集は少女の心を否応なく裸にする。
ほんの少しの幸せもほんの少しの絶望も全て剥いで、そうして話しかけてくるのだ。

そんな時少女は小さく呪文を呟く。