少年は切りそろえた爪を月の光のもとで丁寧に調べると、カーテンを閉めて熱い珈琲を飲んだ。ベッドサイドの机の上には真新しい葉書と綺麗に削られた鉛筆が置かれていた。 少年は朝を迎えるための幾つかの個人的な儀式を終えると、物語を終わらせるために眠っ…
ボートの中で爪を噛む。少年はオールなんてとうに破棄してしまった。波に揺らぐ感覚は少年を絶対的に安寧させている。空と湖はどちらもたっぷりと星を散りばめていて、境目も見つからないほどに親密に溶け合っている。 少年は帰り方を忘れてしまっていたけれ…
引用をストックしました
引用するにはまずログインしてください
引用をストックできませんでした。再度お試しください
限定公開記事のため引用できません。