青い目のジジ

ジジには2つの目があって、その両の目は濃いブルー。
僕はその目が見たくて何度もジジを家に招いては食事を作った。

僕はあんまり料理が上手じゃないけれど、それでもジジは美味しいって食べてくれた。
僕は何も返事をせずにチラチラとジジの目だけを見ていた。

ジジと一緒にいたのは、ある短い冬の間だけだけど僕はその殆どの時間をジジの目を見ることに費やしていたと思う。

勿論、小説を読んだり、音楽を聴いたり、話だって沢山したけれど、内容なんて何一つ覚えていなかった。僕が見ていたのはジジの目だけだったから。



ジジがいなくなってから、僕は何度もジジの青い目の事を考えている。思い出そうとする。

だけど、思い出せるのは不思議な事に作った料理だったり、流れていた音楽だったり、或いは読んでいた小説のタイトルだけ。

飽きることなくずっと見ていた青い目だけが、ぼんやりと霞んだ記憶の中にある。